「やべっ。胸キュン」
「え?」
「ちょっ・・・…」
なんか、俺、かっこわる・・・
と思いながら顔が赤くなるのが止められなかった。
それぐらい彼女の笑顔に見惚れてしまった。
「?」
きょとんと彼女は戸惑う。
そりゃそうだ。
ただただ、
彼女の笑顔にトキメイタ。
「すいませんね。うちの甥っ子が」
その時正樹がコーヒーと本日のケーキを差し出した。
彼女の分を静かにおいて、
俺の分のコーヒーを置く。
さすがーー
気がきくぅ。
「甥っ子さんなんですね」
「そうなんです。」
なんて言いながら朗らかに会話を楽しんでいる。
声も優しくてかわいいな。
俺は、左の胸ポケットに押し込んだ
ぶーぶーバイブで呼び出しまくる電話を
ちらりと気にしながら、
正樹兄ぃが差し出したコーヒーを口にした。
「にっがっっ!!!!」
不味いっ。
濃くて酸味が強くてーーーーなんだコレ!
正樹兄ぃは慌てふためく俺みてニヤリと笑ってた。
「おまえなぁ…。
帰れよ。仕事もあるだろ?
こんな嫌がる子を無理やり誘うなよ。
強引すぎ。」
そういうと、俺の頭をぽんぽんとなでてカウンターに下がった。
あーぁ。完全にガキ扱い。
向かいでは彼女がおかしそうに笑った。

