正樹兄は俺を追い払うように
しっしっと手で仰ぐ。

おいおい。
俺、犬扱い?



「すいません。こいつが・・・」

「いえ。大丈夫です。」

そういって
俺から解放された彼女は
奥のテーブル席に腰かけた。

そこが彼女の定位置なのかな?

~♪♪

「あ。やべっ」

小さくつぶやいて俺はマナーモードにする。



いつもなら、俺がこの正樹がやっているカフェに顔を出すのは
定例会議のある火曜日だけ。


会議は兄貴が進行するため、
サボっても問題ない。


しかし、今日は水曜日。


やるべき書類をちょっと見ないふりして、
来たんだよなー


あはは。


…武 怒っているだろうな。

優秀な秘書のことを少し思い出して、俺は苦笑いする。


すまん。

と心の中で誤って携帯を内ポケットにしまう。