御曹司なんてお断りっ◆


彼女は顔をあげると、
じっと俺の顔をみて、
みるみる眉間にしわを寄せた。


「ナンパ男っ!!!」


「よっ。昨日ぶりだね」


俺はナンパ男という発言に少し傷ついたが
気づかないふりして、にこやかにあいさつした。




・・・うしろでは、
正樹兄ぃが笑をこらえきれず爆笑している。

失礼だな。



「ねぇ。
 
 名前教えてよ。おねーさん。」

これぐらいで挫けていたらダメだろ。
俺は、満面の笑みで微笑みながら
彼女の顔を覗き込むように尋ねる。


「・・・」


押し黙ってしまった彼女を見つめる。


黒縁のメガネの奥は
相変わらず大きくてきれいな黒い瞳が
俺をまるで変態のように見つめている。


うーーん。
ちょっと傷ついた。



俺も黙っていると、正樹兄ぃが助け船を出してくれた。



「昴。お前はうちの常連さんを無くす気か。
 どけよ。
 困ってるじゃないか。」



やれやれといった感じでカウンターから出てきて、
俺を彼女の前からどかす。