もう、建志ったらわざわざ誤解をさせるんだから。
いつもそうだ。
私に近づく男性にちょっかい出して・・・
「あのぉ。違うんです。」
「違うの?あいつは、一緒に住んでないの?」
黒田課長がまっすぐ見つめる。
「住んでますけど。
それはーー」
「そっかーーー。」
黒田課長はそのまま
はぁ。っとため息を床に吐く。
「課長、だから電話にでたのは、建志・・・」
「建志っていうんだ?彼。
はぁごめんな、田中さんは優しいから僕が…
上司が誘ったから断れなかったんだな?」
黒田課長は頭をポンっと撫でた。
「でも、
僕もあきらめないから、上司命令だと思われてもいいから…」
「だから・・・」
「田中さん、今日--地下駐車場に6時に待ってるよ」
それだけ言うと、
くるっと回れ右をして廊下を後にした。
「ちょっと、課ーー」
残された私は呆然と背中を見つめた。
「---だから、建志は兄です。」
つかれた声は届かなかった。

