「先日は、ご馳走様でした。」
深々頭を下げた。
先日の食事は本当おいしかったし。
「いやいや、僕も楽しかったです。」
つられて
黒田課長も深々と頭を下げる。
そして、少し照れたように笑った。
「また、田中さんと一緒に行きたいな。
今夜とか暇?」
「いえ、今日は…」
さすがに、家に帰って建志にこの携帯電話を返さなきゃ。
ちらりと携帯電話に目をやる。
女の子の着信ばかりの電話。
まったく、一言文句を言ってやらなきゃ。
「………
やっぱり…彼が気になるの?」
「え?」
「だって、田中さん…食事中も電話が気になってたし
電話が来たら、僕の目の前でとっちゃうし、
電源落として。っていったら、
あれ、『上司の前』だから電源落としたんでしょ?」
黒田課長は苦笑した。
「いえ、そういうわけでは…」
というけど、
なんだか、いい言葉が思いつかない。。。
思わず黒田課長を黙って見つめる。
「極め付け。
田中さん、今日携帯電話を忘れたでしょ?」
「え?」
握りしめている携帯を落としそうになった。

