「もしもしーー」
『もしもし。建志様の携帯電話でよろしいでしょうか?』
やけに上品な女性が出た。
「あ。すいません。
建志の携帯ですが…本人がいませんので折り返しでも
よろしいですか?」
『はい。…あ、いえ…
以前、助けていだたきましたお礼をと思いましたので・・・
再度こちらから
お電話をかけさせていただきたいのですがーーー
よろしいでしょうか?』
「どーぞ、
お気を使わせ申し訳ありません。」
妹だと名乗らなかったのは、建志へのささやかな抵抗。
失礼いたします、と言ってその電話は切れた。
多分、予測なんだけど…『お茶』さんは、
お茶とかお花とかしてそーな上品美人ってことでお茶??
なんて、勝手に妄想して、
我が兄のネーミングセンスを疑った。
もう、電話はとらないでおこう。
そう決心して、席に戻ろうと振り返ると…
「田中さん。」
「・・・黒田課長。」
いつもの優しい笑みを浮かべた黒田課長。

