想像もしていなかった

優の行動に何も言い出せず

一緒に走る。


いつも優しくて

ふんわりとした印象の優。


勉学に対する姿勢も

真面目そのものの優。


そんな誠実でおおらかな彼が、

心が深く

沈み込んでしまっている私の

手を取り

「サボっちゃおう」なんて。


軽やかに、

でも私を気遣いながら

走る優に向かって、

私はようやく声をかける。


「ねぇ、優くん。

 講義は出なくてもいいの?」


川岸教授の講義を欠席するのは、

私1人で十分。


優を付き合せるなんて

そんなこと、

私には出来ない。


私の言葉に、

優がゆっくりと足を止めて

振り返ると

飛びっきりの甘い笑顔を見せた。