「なによ。

 別にそうじゃないけど。

 でも、敦が芸能人って……」


アリエナイ―――


「そうっか。

 彩加がそう思うなら

 そうでもいいや。

 俺はそれを肯定も

 否定もする気ないし」


そう言って今度は

少年のような可愛い笑顔を

私に向ける。


敦の本心は一体なんなのだろう。


今の敦の本当の姿は

どれなんだろう。


ふつふつと湧き上がる

敦への疑惑が

私の心を充満させる。


しかし、敦はそんな私を

楽しむかのようにハハッと笑うと、

私の手をすっと握って歩き始めた。


「ほら、映画観ようぜ。

 もうすぐ始まっちまう」


「え、でも……。う、うん」


前を歩く敦の後ろを

なんとかついて歩きながらも、

私は心のざわつきを

抑えられないでいた。