それがさも当たり前のように

涼しい顔をする敦に、

私は動揺を隠せずにいた。


脚はガクガクと小刻みに震え、

全身の血の気が引いていく。


“もう一つの名前”―――?


敦は今、確かにそう言った。


『敦』以外の名前があるなんて、

一体どういうことなのだろうか。


「“もう一つの名前”って、

 ……どういう意味よ?」


どうにか平静を

装いながら敦に問いかける。


でもやっぱり

口から出た声が少し震えていた。


敦はそんな私の顔を

じっと見つめると口を開いた。


「俺には『敦』と『ユウ』の

 2コの名前があんの。

 携帯を2コ持ってんのと、

 まぁ同じ感覚っつーのかな」


敦の口から

信じられない言葉が

次から次へと放たれる。