私だってきっと

そう思ったはずだ。


でも―――


私にはどうしても一つ

ひっかかることがある。


紗和さんは敦のことを

『アツシ』ではなく

『ユウ』と呼んでいた。


もし敦と紗和さんが

付き合っていたら

そんな呼び方なんてしないはず。


なのに、紗和さんは

それが当たり前のように

『ユウ』と呼んでいた。


私は、紗和さんに向かって

笑顔で手を振る

敦の背中をトントンと叩いた。


それにこたえるように

敦は少しだけ首を傾ける。


「ねぇ、敦」