「……大丈夫か、彩加」


鏡に映る自分の姿に

静かに問いかける。


なるべく緊張しないようにと、

服装はいつも通りの

ものにした。


いわゆる

“女の子らしい”服装だと、

私自身が戸惑ってしまうから。


だから大学に行く時と

然程変わらない、

穿き慣れたジーンズに

クリーム色のシフォンの

カットソー。


これにお気に入りの

トートバッグで行けば

いつもの私でいられるはず。


「ムリだったら、

 帰ってくればいいんだから」