忘れんなって、

一体何のことだろう。


ぽかんとしたまま

動かない私を見て

敦は小さく溜め息をつく。


「だから、今度の日曜。

 お昼過ぎに迎えにくるから」


敦に言われて、

その約束を思い出す。


そうだ、私はその約束を

断ろうとずっと

切り出すタイミングを伺っていた。


『こんな私じゃ、

一緒に遊べる資格がない』と。


でも、今は―――


「うん、わかった」


やっぱり敦といると

すごく気が楽だし、

何より素の自分でいられるのが

心地いい。


それが分かってしまった今、

私にこれを断る理由なんて

どこにもない。


「じゃあな」