「ねぇ、敦くん。

 こっちでは働いているの?

 学校に通っているのかしら」


母親が目を輝かせながら訊く。


遠くに引っ越してしまった敦が

どうしてこっちに戻ってきたのか、

母親もやっぱり気になるのだろう。


「バリバリ働いてるっす。

 もう4年くらい」


にっこりと笑顔でこたえる敦に、

私はさっき電車の中で

思っていたことを訊こうと

思い切って口を開いた。


「ねぇ、敦。

 敦の仕事って何なの?」


私の問いかけに

敦の動きが一瞬だけ止まる。


しかしそれは本当に一瞬だけで、

手にしていたクッキーをほお張る。


ふと敦と視線が合う。


その視線に思わず

私の心臓がドクンと

大きく反応する。


そんなことなど知らない敦は、

私に向かって

ふわりと甘い笑顔を見せた。