緋と微熱と狂想曲【上】





用意周到、って訳ね。



「俺、お腹空いてるんだよね。
だから、依茉の血を啜りたい欲望で頭の中一杯なの」



そんなの…



「美味しいかどうかなんて分からないよ?」



もうダメだと感じながら精一杯の虚勢を張る。



最後まで、抵抗をやめるなって本心が叫んでるんだ。



「大丈夫、美味いよ。

さっき、虫を退ける口実の時に味見したからね」



皐月くんはニヤッと笑う。



「…そうだったんだ」



虫が付いた跡があるから
私が嫌な思いをするといけないから
と言って舌を這わせたのは真っ赤な嘘。



私を味見する為だったんだね。



「もう、質問は後で良い?」



皐月くんはまた一歩私の方へ近寄って来る。