「お前に毒牙を刺したのは、ただのマーキングだ」
皐月くんは素っ気無い顔でそう言った。
「マーキング?」
「そう、歯牙から俺の体内分泌液を依茉の身体に流し込んだ」
「そ、それってどうなるの?」
まさかそれが私の中を徘徊して最後には──
悪い想像がまた頭の中を埋め尽くした時、
「依茉が何処へ逃げようとも、必ず見付け出す事が出来る。
俺の分泌液が依茉の中で反応して本体の俺と呼応するから。
それを頼りに探せば依茉なんて見付け出すのは造作も無いって事」
皐月くんはクスッと笑った。
頭を何か重い鈍器でガツンと殴られたかの様な衝撃を受けた。
だから、なの。
私が皐月くんから逃げ切る事は出来無いと知っていたから。
だから、こんなにも余裕だったんだ。
