緋と微熱と狂想曲【上】






そう、言われれば



…確かに。



皐月くんの説明に妙に納得してしまう私がいた。



「それと一緒。

街角をふらりと歩いていたら、丁度俺好みの甘い匂いがして…

匂いを頼りに辿り着いた人間がお前、依茉だったって訳」



「っ、」



「剰りに美味しそうだったから集中して姿を捉えてしまったよ。

…お前が感じた強い視線って言うのは多分その時の俺だ」



そうだったんだ。



それじゃ、私は皐月くんに声を掛けられる前から…



視線を感じる前から…



既に皐月くんの歯牙に掛かってたって訳か。



「逃げても無駄だよ。

今、依茉の背中には見えないけど吸血鬼の紋章を刻み付けてある。

これが何を意味するか分かる?」



その言葉に私はふるふると首を横に振る。