緋と微熱と狂想曲【上】





「人間は愚かだ、吸血鬼の存在を頭から否定する。

今までお前もそうやって生きて来たんだろ?」



突き刺さる様な視線。



皐月くんは私をバカにしているかの様に見下ろしていた。



否定して、生きて来たって…



「それじゃ、皐月くんは吸血鬼だって言うの!?」



信じたく無かった。



否定する処か考えた事すら無かった。



小説や映画の中にしか存在しない者だと信じてやまなかった。



人の生き血を吸って生き永らえる御伽噺の中の吸血鬼。



まさか、本当にこの世界に存在するなんて…。



「嘘っ…」



「まだ言うの?

まあ、実際に血を吸われてみればそんな事は言えなくなるだろうけど」



“ねぇ、依茉?”



皐月くんは妖しく微笑んで私の肩に手を添えた。