ドクン、ドクン…
次第に早く、大きくなっていく私の心臓の鼓動。
額にはうっすらと脂汗が浮かんでいた。
この状況に戸惑う私に皐月くんは何も言わない。
ただ、ずっと私の事を見つめている。
吸い込まれそうな位の黒い瞳で。
その目を見ている内に次第に背筋がゾクゾクしてきた。
目眩を感じる位に、気分が悪い。
何だろう、この感じ…
店に入る前に感じた視線と同じだ。
あれはやっぱり、皐月くんの視線だったの?
「皐月くん…
店に入る前、私の事見てたでしょ?」
渇いた口を開いて、恐る恐る問い掛ける。
「危なっかしいから見てたって言ったよね」
皐月くんはそう言って笑った。
だけど、明らかに先程までの笑い方とは違う。
私はそれを感じ取っていた。
