緋と微熱と狂想曲【上】





幾ら何でもそこまでして貰う訳にはいかない。



本当に。



今日は一日迷惑掛けっぱなしだ。



こんな見ず知らずの私の為に、これ以上皐月くんの貴重な時間を削らせる訳にはいかない。



「何で?
送られるの嫌?

危ないよ、女の子一人夜道を歩かせるなんて」



嫌じゃ無いけど…



確かに危ないかも知れないけど…



それでも。



「だ、大丈夫だもんっ!」



私は繋いでいた手を皐月くんの手の中から抜き取ってそう言った。



走って帰れば良いだけの事だし。



それに、私男に対してガードは強くしているつもり。



交通事故にさえ気を付ければちゃんと一人で帰れるもん…。



「ったく、強情なんだから」



そんな私を見て、皐月くんは少しだけ怖い顔になった。