緋と微熱と狂想曲【上】





部屋に設置されていた時計に目をやると
時刻は9時ジャスト。



私と皐月くんがこの部屋に来てから既に5時間以上が経過していた。



通りで疲れる訳だ。



私は深い息を吐いて、ずっと手に握り締めていたグラスをテーブルの上に置く。



中に入っていた氷はいつの間にか全て溶け、水と化していた。



「すっかり遅くなっちゃったねー」



和夏の言葉に、皆のろのろと席を立ち上がり始める。



『久しぶりに思い切り歌えてストレス発散になったかも』



そう言って笑うのは但馬くん。



『もっとゆっくり話したかったな』



少し残念な顔をするのは吉村くん。



そんな彼等に、癸ちゃんと恵ちゃんはサッと寄って行って



『メルアド教えてー!』



甘ったるい声でお誘いをしていた。