曲の出始めはもうとっくに流れているのに歌おうとはしなくて此方を見ているのは…
やっぱり私が遅れて来たから?
そんな思いが頭を過った瞬間だった。
「依茉…っ」
和夏が席から立ち上がって恐る恐る私の方へ歩み寄って来た。
“依茉ー、遅かったじゃん!”
そう言われると覚悟していた。
それなのに、
「依茉の彼氏、超格好良いーっ!!」
目を輝々とさせた和夏の口から飛び出してきたものはそんな言葉だった。
「…っへ?」
私はそれを聞いて目をぱちくりとさせる。
和夏の一言から始まり、部屋の中は女子の黄色い声と男子の野次馬でいっぱいになった。
