緋と微熱と狂想曲【上】





「有り難う御座います」



私と皐月くんが軽く頭を下げると、



「御ゆっくりどうぞ」



店員さんは軽く会釈をして受付の方へと戻って行った。



私は目の前のドアを見つめてごくりと息を呑む。



このドアの向こうはもう合コン会場なんだ。



和夏達がいるんだ。



気分や雰囲気を盛り下げる様な事は絶対あってはならない。



だから絶対、皐月くんが“偽彼”って事がバレる訳にはいかないんだ。



私はそれを心の中で肝に銘じた。



「行くよ、皐月くん」



私はドアノブに手を添えて、最後の確認を取る意味で皐月くんの顔を見上げた。



「依茉は大袈裟だな」



皐月くんはそんな私を見てクスッと笑った。



私と違って何だか余裕の表情だ。