店の中に入るとすぐに騒音が私と皐月くんの鼓膜を突いた。
「五月蝿っ…」
皐月くんは顔をしかめて耳を塞いで見せた。
「ご、ごめんね…っ」
私はあたふたと皐月くんに謝る。
確かに、皐月くんは外見的に見てカラオケとか騒がしい所はあまり好きでは無さそうだ。
「良いよ、部屋何処だっけ?」
「確か17号室だって言ってた気が…」
その時、私達の会話を聞いていたのか店員さんが受付からひょっこりと顔を出した。
「もしかして、お客様。
名取様でしょうか?」
「あ、はい」
いきなり声を掛けられて驚いたものの、そう返事をした。
「花木様からお伺いしております。
17号室へどうぞ」
そう言って部屋の場所を手で案内してくれた。