そこには黒くて丸っこい虫がいた。
それも結構大きめの得体の知れない虫が。
「な、な、な、何それっ!」
私は驚きの余り後ずさる。
「や、この虫の名前は知らないけど。
依茉の背中に付いてたんだ」
「ひいぃっ!?」
私は両手で頬を覆って奇声を上げる。
仕方無いよねっ、
だって私、虫嫌いなんだもんっ!!
「会計の時、依茉の後ろ姿を見た時にこの虫がくっ付いてるのが分かったんだけど…
その場で言ったら依茉が悲鳴上げそうだったし。
女の子って大抵、虫が苦手だろ?」
皐月くんの言葉に私はこくこくと激しく頷く。
勿論、首を縦に。
「だから、此処に連れて来て虫を取ったんだ。
中々、虫が飛んで行きそうも無かったし」
