緋と微熱と狂想曲【上】





「…もう振り向いても良い?」



私は皐月くんに小さな声でそう訊ねる。



「いや、もう少し待って…」



皐月くんがそう耳元で囁く。



するとまた、小さな痛みが走った。



今度は背中では無くて右の首筋だった。



「ひゃ…」



私は声を上げる。



今度も痛みは一瞬で。



でもさっきと違う感覚が首筋を巡ったから。



何だか生暖かくて、それでまるで生き物の様なもの。



だけど何だか身体の奥が、じんじんとしてきて熱い──



ぎゅっと目を閉じてその得体の知れない感覚に耐えていると。




暫くしてその感覚は失われた。



何だったんだろ…?



今の。