不思議に思って皐月くんの名前を呼ぶと、皐月くんはにっこりと笑った。
「ちょっと依茉にお願いがあるんだけど良い?」
「うん、良いよ!」
私は二つ返事で答える。
喫茶店代奢って貰っちゃったし、これから彼氏のフリして貰うんだし。
私に出来る事ならどんと来い!
「じゃあさ、依茉後ろを向いて」
「うん?」
私は言われた通り、後ろを向く。
目の前には道を行き交う沢山の人、今しがた出て来た喫茶店の看板の端が少しだけ見えた。
「それで今から俺が良い事するから絶対に後ろを振り向かないで」
「良い事って何?」
後ろから耳元で囁かれる皐月くんの吐息をリアルに感じながら私は言葉を返す。
