緋と微熱と狂想曲【上】





「あのさ、店入る前にちょっと
そこの路地裏行って良い?」



え!?



「良、良いけど?」



「なら良かった、有り難う」



皐月くんはそう言うなり、今度は私の腕を掴んで路地裏に入って行った。



もう店に入る所まで来てたのに、一体皐月くんどうしちゃったんだろ?



私は皐月くんに引っ張られながらカラオケ キューブの店の前を通り過ぎるのをただただ傍観していただけだった。



疑問に思っている事を言えば良かったのに。



“何で合コンが終わった後じゃダメなの?”



“何で今じゃなきゃダメなの?”



って。



だけど皐月くんの態度を損ねてはいけない気がして、私は自分の感情を押し殺していた──。