「ダメだよ、やっぱり!」
喫茶店を出て斜向かいのカラオケ店へ向かおうとする皐月くん。
その後ろを慌てて私は追い掛ける。
何故って、それは──
「たかだか830円じゃん。
安いもんだから別に良いよ」
皐月くんに奢られてしまったからです。
伝票を持って二人で会計の所まで行ったのは良かったんだけど。
まさか、私が財布を取り出す前に皐月くんがお金を店員さんに渡す事態が起こるなんて誰も想像出来ないじゃない!
「安くても、私のメロンソーダの方が珈琲より値段高かったし!」
それにお礼するつもりが逆に奢られてしまっては全く意味が無い。
「良いって言ってんじゃん!
俺はこれから、もっと良い物飲めるから」
