緋と微熱と狂想曲【上】





…言 え な い。



だけど、彼氏が…



でも今更行けないとも…



だからって“嘘付きだ”って言われたく無い。



私の見栄が話をややこしくする。



「待ち合わせしてたんだったら早く行きなよ」



皐月くんは珈琲を飲みながらのんびりとそう言う。



でも助けて貰ったのに皐月くんをこのまま残して行くには。



私が皐月くんの分のお金を置いて行くのは当然だけど。



失礼な事はしたく無い。



せっかく私を気遣って声を掛けてくれたんだし。



それに、私もっと──



もっと皐月くんと話したい!!



そう思った時には私の口から勝手に言葉が飛び出していた。



「お願い、皐月くん!
私の彼氏になって!!」