緋と微熱と狂想曲【上】





「ごめんっ、皐月くん!
ちょっと出ても良いかな?」



顔の前で両手を合わせて頭を下げてお願いする。



「良いよ」



皐月くんはしれっと言った。



私は鞄の中から携帯を取り出して通話ボタンを押す。



急いでいたからディスプレイなんて見なかった。



誰からだろ?
そう思って受話器を耳に押し当てると…



『ちょっと依茉!?
今、何処にいるのよ!?』



聞き慣れた声がした。



でも相手の声が大き過ぎて耳が痛い。



私は目をしぱしぱさせて、耳を携帯から遠ざけた。



「…和夏?」



電話越しに聞こえる和夏の声から凄い剣幕を感じ取っていたら。