緋と微熱と狂想曲【上】





そして私は今でもあの日の事を後悔している。



あの日、あんな事をお願いしなければ。
契約なんて結ばれなければ、こんな事にはならなかったのに。



ううん、それ以前の問題だ。



あの日、あの場所、あのタイミングで街角で彼に出逢わなければ
こんなに苦しくて悲しくて辛い思いはしなかったのに。



私はバカだ。



「…無視すんなよ」



彼は激しいキスの後、唇を手の甲で拭って私の事を睨み付けた。