夢の様な心地の中、やけにリアルに聞こえるのは
ズズ、ズズズズッ…
皐月くんの血を吸う音。
…目眩がする。
この音を聞くと、じわじわと体中の力が抜けていく。
駄目、もう吸わないで。
抵抗しなきゃいけないのに。
脳に響くのは部屋に掛かる時計の秒針と血を吸う彼の不協和音。
っ、
今にも意識を飛ばしてしまいそうな最中、虚ろな目で確認したのは
血で汚れていくチュニックと、皐月くんの口元。
「や、」
喉から絞り出す様にして出した小さい声は彼に届く事は無い。
ズズ、ズズッ、
夢中なのだ、私では無く、
――私の血に。
朦朧とする意識の中、初めて狂気を目の当たりにした気がした――。
