緋と微熱と狂想曲【上】





「依茉の不安そうな顔が好き。
震える姿が好き、恐怖に怯える…

その顔が好き」


皐月くんは両手で私の頬を包み込む様に触れる。



「ひっ…」


そんな…!!


その言葉を聞いた途端、みるみる内に顔が青ざめていくのが自分でもはっきり分かった。



「そう、その顔。

ずっと見ていたくなる。
…もっと見せてよ」


チュニックを肩下までずり下げられて、私は我に返ったかの様に暴れだす。



「嫌、嫌、やめてっ!」



手で皐月くんの胸を思い切り押して、足をばたつかせて。


必死に抵抗する。


だけど、皐月くんは冷たい目で私を見ているだけでびくともしない。


代わりにテーブルの上に置いたペットボトルに足が当たって、床に落ちた。


ドッ、


と鈍い振動がフローリングにこだまする。