これはどう言う事なのか。
皐月くんが、あの女の人の記憶を消したのか
はたまた女の人の意思で黙っているのか。
それにしても――
疲れ果てた私はベッドの中で丸くなる。
気掛かりなのは皐月くんが言った事。
“他人への思い遣りは偽善のくせに、自己主張だけは激しい”
…確かにそうなのかも知れない。
自分が好意でしてきた事がそう捉えられるのは嫌だけど。
“自分達、種族の可愛さにどれだけの犠牲を払っているのか考えもしない”
どれだけの犠牲って言うのは考えた事は無いけれど。
でも、きっと、皆そうだ。
切羽詰まった時、自分か他人どちらかを切り捨てなければいけない事態に陥った時。
人は誰しもが自分可愛さに相手の方を切り捨ててしまうだろう。