それからどうやって家に帰ったのかは分からない。


ただ、あの後大変だったのは確かだった。


救急車がサンシャインに到着して、女の人は運ばれた。


苑朶さんが隊員の人に状況を説明していたけど、隊員の人は明らかに困惑していた。


女の人は確かに血塗れだったけれど傷一つ見当たらなかったのだから。


多分、皐月くんが首筋の傷跡を舐めて消したんだと思う。


苑朶さんは“アイツ余計な事を”とぼやいていた。


傷さえ残っていればまだ何かしら説明が付くもののそれが無いせいで

謎の大量出血となっているのだから。



更に数時間後、彼女は病院で目を覚ました時この一点張りだったみたいだ。


“何も覚えてない、何も知らない。

何で其処にいたのかも分からない”