「名前、聞いても良いですか?」
珈琲とメロンソーダが運ばれて来る間、沈黙になるのが嫌だったから。
「良いよ」
男の人は笑って言った。
「有賀皐月(アリガサツキ)」
…何て言うか良く分からないけど好きな名前だ。
「…名取依茉です」
私は小さく名前を告げた。
「依茉ちゃん、って言うんだ?
可愛い名前だね」
有賀さんの言葉に私は顔が真っ赤になるのが分かった。
「そ、そんな事、無いですっ…!」
首を思い切り横に振って否定する。
「首が千切れるよ」
有賀さんは小さく吹き出した。
何だかその表情が可愛くて。
大人の男の人だとは思えなかった。
「…失礼ですが有賀さんって歳はおいくつなんですか?」