緋と微熱と狂想曲【上】





見付かってしまったら、もうこそこそと隠れている訳にはいかない。


扉をゆっくりと全開にして、私は皐月くんの前に姿を現した。



視線が、絡み合う。




「私、帰ろうと思って、

それで皐月くんに一言言ってからの方が良いかな、って。

そしたら苑朶さんが…
此処に来たら会えるって…」


間違え無い様に慎重に言葉を選ぶ。



“会える”じゃ無くて“知れる”だったのだけど。


悟られない様に、オブラートに包んだ。



何と無くだけどその事を皐月くんが知ったら、苑朶さんに対して怒る様な気がして…


苑朶さんの安否を気遣うつもりなんて無かったけれど、やっぱりここは同じ人間として心配だから。