緋と微熱と狂想曲【上】





意識を失ったのか、気が狂ったのか。

それとも――


生気を抜かれた様な二つの半眼が頭を垂れて
それでもなお血を啜り続ける皐月くん。


どうして、どうして?


もうこれ以上は――




やめて、



「もうやめて、皐月くん!」


震える身体で叫んだ。


届いて欲しい、でも届いて欲しく無い声。



今の皐月くんの視界に入ったらどうなるか、なんて考えたくも無い。


だけど叫ばずにはいられ無かった。


早く行為をやめさせなきゃ。


だってきっと、それ以上血を啜ったら彼女は――






瞬間、ぴたりと皐月くんの動きが止まった。


首筋から顔を離し、真っ赤な口元を手の甲で拭う。