何より、怖いのは、皐月くんだ。
嘆願の声を非情にも無視し、ひたすら首筋に被り付いて貪欲に血を啜るその姿は、
もう目の前の獲物しか、餌しか見えていなくて。
“獣”そのもの。
いや、違う人種と例えるべきか。
それとも人と違う生き物に例えるべきなのか判断は出来無い。
だけど、私の時とは違うその“貪る様な啜り方”に
獲物を射る様な爛々と輝く“紅い眼”に
“餌”に対する気遣い一つ見られないその態度に。
どうしようも無く恐怖した。
『あ、あ…!』
泣き喚きながらも僅かな抵抗を見せていた、女の人の顔が次に強張った時。
皐月くんのシャツを掴んでいた白い手が力無くぱたりと離されて
だらりと下に垂れた時、
恐怖を感じずにはいられ無かった。
