緋と微熱と狂想曲【上】





そして双眼に飛び込む様にして入ってきた光景に、


私はただ目を見開く事しか出来無かった。



其処には、目の色を赤く光らせた皐月くんと


首筋から噛み付く様にして血を啜り取られている、女の人。



…間違い無い、あの時カウンター越しに座っていた女の人だ。


顔、服装、を見て確信した。



皐月くんが音を立てて血を啜る度、女の人の身体は痙攣し表情は恐怖の色で歪んだ。



ズズ、ズズズズズッ…



『嫌ぁああ…!

もう、やめ、て…』


耳障りな音と悲鳴が交互に空間を支配する。



女の人の着ていた服は殆どが赤く染まっていて、どれだけ多くの血が摂取されているのかが安易に想像出来た。



目を、耳を。


閉じて塞いでしまいたくなる光景。