「ああ、取っ手なら此処から出すんだ」
彼は扉の左側、真ん中より少し下の位置をそっと指でなぞる。
すると何かがあるのか、ある場所でボタンを押す様に指を動かした。
カチッ、
小さい音がすると其処から長方形の棒みたいなものが突き出してきて取っ手の様な形になった。
成る程、これも扉の付属品、しかも灰色だ。
だから触れるまで気が付かないんだな、
ぼんやり考える。
「さて、どうする?」
私の考えとは他所に彼は笑った。
まるでこれからの私の選択肢を楽しむかの様に。
「俺は接待の続きがあるから店に戻らないといけない。
目の前には扉。
見ての通り、開け方はもう分かるだろ?」
その言葉に小さく頷く。
