緋と微熱と狂想曲【上】





隙間から覗いた外の景色は相変わらず薄暗かった。


「此処には日は差し込まないんですか?」


まだ夕方になるかならない位なのに相変わらず閉鎖的な空間に疑問を感じずにはいられない。




「…此処は夜が早いんだ。
尤も、ずっと夜かも知れない、皐月にとっては」





「……?」



意味深な言い方。

皐月くんにとっては、ってどう言う意味だろう。





「取っ手はどれですか」



考えても今は分からない事に思念を傾けるのはやめて目の前の事情に身を任せる。



扉を開けるには取っ手となるドアノブらしきものが必要だ。



一面を見まわしても灰色の壁にしか見えないソレの何処に付いているのだろうか。



まさか押し戸じゃあるまいし。