緋と微熱と狂想曲【上】





「それって私が入って来た店の裏側とは違う“裏側”があって…

其処に繋がってると言う事ですか?」


耳に届いた単語を、少しずつ整理しながら飲み込んで、纏める。



「そう言う事だよ」


“君は理解が早いね”


褒めてるのか、からかっているのか分からない口調。


でも彼は苑朶さんよりは苦手じゃ無い気がした。



「ほら、此方においでよ」


彼の手招きに私はゆっくりと其処に近付いて行く。



私が目の前まで来たのを確認すると彼は今一度、壁にしか見えないソレをコンコンと叩いてみせた。


「分かる?

ほら、隙間があって外の色がぼんやり見えるだろ?」


彼の指差す先には縦に入った小さな隙間。


それはこの壁が壁では無い事を示している。