緋と微熱と狂想曲【上】





男の人は私に強引に腕を引っ張られて、少し困った様な顔をしていたけれど。



“そこまで言ってくれるなら”



そう言って喫茶店に入ってくれた。



喫茶店はこじんまりとした小さな空間で内装もどこかレトロな感じがした。



壁には錻で出来た玩具や木で出来た小物が提げられている。



『珈琲とメロンソーダ、で宜しいでしょうか?』



私達を席に案内してくれたウェイターさんに注文を告げるとそう復唱された。



「はい」



私の返事に、向かい側の席に座る男の人も小さく頷くとウェイターさんは
“承りました”と言ってメニュー表を脇に挟み、店の奥へと消えて行った。



店の中は80年代の空気を匂わせる洋楽が掛かっていて何だか少し落ち着いた。



そこで私は思い切って口を開いた。