「良いんじゃない、案内してあげれば」
背後から声がして。
振り向くと苑朶さんがグラスを二つ手にして笑みを浮かべていた。
「でもマスター、」
バーテンダーの彼はそれでも戸惑っているらしく困惑した表情を浮かべる。
「彼女はね、今皐月の専属の餌なんだ。
それでちょっとまだ自分の置かれている状況があまり分かっていないみたいなんだよね」
“だから、教えてあげて欲しいんだ。
“何も知らないその綺麗な目に、”
“皐月の生きる世界がどんなものなのかを”
“皐月と言う吸血鬼の本性を”
諭す様に、囁かれて。
私の身体は一気に硬直する。
ゾッとして、芯が震える。
「そう言う事なら、」
それでも若干戸惑いを隠せない彼はちらりと私に視線を向けて。
