確かに皐月くんは格好良いし、好きになったよ。
好きだった。
皐月くんの正体が吸血鬼だと分かるまでは。
だけど、正体を知ってしまってからは…。
何とも言えない気持ちになってしまった。
怖いけど、優しい。
優しいけど怖い。
逃げたいけど近付きたい。
どうせ逃げられないなら近付きたいけど、
今ならまだ逃げられるかも、なんて考えている自分がいて。
本当の所、良く分からないんだ。
可笑しいよね、自分の事なのに。
こう言うのをきっと“魅入られてる”って言うんだろうな。
私の返答を聞いた苑朶さんは、何故かほっとした様に息をついた。
「良かった、まだ皐月の虜になってなくて…」
「虜になってはいけないんですか?」
まるで皐月くんの事を好きになってはいけないとでも言う様な苑朶さんの言葉に私は刺のある言い方で返す。
