「依茉ちゃんは、そんな事を気にしなくて良い。
過去がどうあれ、今は依茉ちゃんが皐月の餌なんだ。
どうせ、お互いの合意の元で成立した関係では無いんだろう?」
私はこくりと頷いた。
相変わらず目はグラスを見つめたまま。
店のライトでグラスの中のお酒がちらちらと揺れた。
合意の元では無い。
今だって怖い。
背中に烙印が押されていて、このままでは皐月くんが飽きない限りずっと餌のままなのだと。
子孫を残す為だけに結婚をして、愛の無い行為を強いられる事も。
「もしかして、依茉ちゃんは既に皐月の事を好きになったりしてるのかな?」
!?
顔が熱くなる様な質問に私は身を縮める。
「好きでは、無いと思います」
小さな声でそう答えた。
