緋と微熱と狂想曲【上】





「皐月は簡単に依茉ちゃんを手放したりしない」



「……。」



そう言う事を聞きたい訳じゃ無いのに。



「皐月は適当な餌を此処に連れて来るけど、専用の餌はあまり此処に連れて来る事は無いんだ」



「そう、ですか」



私が皐月くんの専用の餌になってる事、苑朶さんにも知られてるんだ…。



「現に、皐月がお気に入りをこの店に連れて来たのは依茉ちゃんが二人目。

前から専用の餌の女の子はちらほら見た事はあるけど。
この店に来た事は無かったな」



遠い過去を懐かしむかの様に目を細める苑朶さんに
私の心臓はドクドクと音を立てる。



頭の何処かでは気付いていた筈なのに、意外にも傷付いている自分がいた。



私は最初の専用の餌じゃ無い。



皐月くんの“お気に入り”の何番目かなんだ…。