それから、私は自分の行動を上手く把握する事が出来無かった。



気が付いたら、苑朶さんに腰を掛ける様に勧められ
カウンターの中を後にするとお客さんに混じって席に座っていた。



「ほら、依茉ちゃん。

オレンジジュースだよ」



苑朶さんがジュースの入ったグラスを私の目の前のテーブルに置き、向かい側の席に腰を下ろす。



「…有り難う御座います」



今、飲み物を口にしたくは無かったけど。
せっかくの好意を足蹴に出来る私では無かった。



グラスを手に取り、口元へ運ぶ。



冷たいジュースを喉に流し込むと少しだけ気が楽になった。



「大丈夫だよ」



苑朶さんは優しく笑った。



「何が、ですか?」



私は苑朶さんとは目を合わせず答える。