緋と微熱と狂想曲【上】





「皆、血を吸われる時さ
だらしなく喘いだり涎垂らしたりさ…

寝る時なんか、そんなつもり無いのに勝手に股開くんだよ?」



皐月くんはクッ、と声を殺して笑う。



何が可笑しくて笑ってるのか分からない。



だけど私はこの時、皐月くんの事を怖いと感じた。



“吸血鬼”としてじゃ無く、一人の男として。



「本当、滑稽だよ」



「っ、」



ぞくりと身悶えする程の冷笑。



私は何も言えなかった。



「依茉はいつまで持つかな…?」


そんなの…



「…分かんないよ」



いつまで持つかな、って。



それは餌として?



それとも女として?



皐月くんに惑わされなければ、酔わなければ、堕ちなければ。



そしたら、いつか。



貴方との未来もあると言うの──?



私は唇を引き結んだまま、その場に立ち尽くしていた──。